半教師あり学習の基本手法とは


半教師あり学習は、一貫性正則化とエントロピー最小化という2つの手法を基本としています。
これらの手法は、通常、損失関数に組み込まれ、ニューラルネットワークの重み更新に利用されます。
一貫性正則化は、ノイズが加わった入力でも、ノイズのない場合の出力と同じになるように学習することを目指します。
これにより、データの変化に頑健なモデルを構築することができます。
具体的には、データ拡張や入力の変化前後での出力の差を最小化する正則化手法を使用します。
また、この手法はラベルが不要なため、教師ありデータだけでなく、教師なしデータにも適用することが可能です。
一方、エントロピー最小化は、データの密集した箇所を決定境界にしないように学習します。
これにより、より信頼性の高い予測が可能になります。
具体的には、ニューラルネットワークの出力を決定境界から遠くなるように調整することで、モデルの性能向上を図ります。
Pseudo-Label手法:一つのエントロピー最小化手法
Pseudo-Label手法は、エントロピー最小化の一つの手法として2013年に提案されました。
この手法では、まず教師ありデータを使用してモデルを事前学習し、次に教師なしデータを入力します。
その際、モデルの出力のうち、自信を持って予測できるものに対して、ニューラルネットワークの出力を1-hot化して擬似ラベルを作成します。
そして、この擬似ラベルを使ってモデルを通常の教師あり学習と同様に学習させます。
半教師あり学習の応用と最新手法:FixMatch
半教師あり学習は、一貫性正則化とエントロピー最小化という手法を組み合わせることで、さまざまな応用において高性能なモデルを構築することが期待されています。
特に、最近の研究では、2020年に提案されたFixMatchという手法が注目されています。
FixMatch手法は、Pseudo-Label手法をベースにしており、まず教師ありデータを使用してモデルを事前学習します。
その後、教師なしデータを入力し、モデルの出力に対して自信のある予測をする箇所に対して、擬似ラベルを作成します。
そして、この擬似ラベルを使用して通常の教師あり学習と同様にモデルを学習させます。
FixMatch手法は、少量のラベル付きデータしかない状況でも高い性能を発揮し、セミスーパーバイズドラーニングの一つの代表的手法として広く使用されています。
FixMatchの学習手法により、少ない教師ありデータでも高い精度を実現できる
FixMatchは、教師ありデータがごくわずかしかない場合でも高い精度を実現するために、consistency regularizationとエントロピー最小化という手法を組み合わせています。
まず、FixMatchでは、画像のデータ拡張として、弱いデータ拡張と強力な強化学習の2つの方法を使用します。
これにより、入力画像の多様性を高め、モデルの汎化性能を向上させることができます。
FixMatchの学習は以下のステップで行われます。
まず、弱いデータ拡張を施した入力画像から、モデルの出力を利用して擬似ラベルを作成します。
これは、少数の教師ありデータがある場合でも、そのデータに対して予測を行い、結果をラベルとして利用する方法です。
この擬似ラベルは、モデルの出力に基づいて生成されるため、教師ありデータの不足を補完する役割を果たします。
次に、強力なデータ拡張を施した入力画像と、先ほど作成した擬似ラベルの一致度を保つために、consistency regularizationを行います。
これは、入力画像を拡張して作成された2つの画像に対して、モデルの出力が一致するようにする正則化手法です。
この手法により、教師なしデータに対してもラベル情報が伝播し、モデルの学習が進むことで、より精度の高い予測が可能になります。
この研究では、FixMatchの有効性を示すために、10クラス分類のベンチマークデータセットであるCIFAR-10を使用して実験が行われました。
教師ありデータはごくわずかであり、主に教師ありデータとしては使用しないデータが多かった場合でも、90%近い正解率が達成されました。
つまり、教師ありデータが限られている状況でも、FixMatchを用いることで高い精度のモデルを構築することができることが示されています。