データマイニングとは


データマイニングとは、膨大な量のデータの中から有益な情報を見つけ出すための技術です。
例えば、クラスタリングやマーケット・バスケット分析などの手法を用いてデータを分析し、その中から価値のある情報を抽出します。
データマイニングは、小売業や金融、医療など、さまざまな分野で利用されています。この記事では、データマイニングの概要や歴史、手法について詳しく説明します。
また、具体的な分析手法や応用事例も紹介します。
データマイニング(data mining)とは
データマイニングとは、非常に多くのデータの中から有用な情報を見つける技術のことです。
データマイニングでは、統計学、人工知能(AI)、パターン認識などのさまざまな技術を組み合わせて、大量のデータ(ビッグデータ)から価値のある情報を抽出します。データマイニングの歴史 データマイニングの起源は、1989年に確立された学術研究分野「Knowledge Discovery in Databases(データベースにおける知識発見)」です。この分野では、膨大なデータから有益な情報を抽出するためのマイニング技術を開発することが目標とされています。
この分野は、略称である「KDD」とも呼ばれています。
1990年代に入ると、計算機の性能が大幅に向上し、その結果、「Knowledge Discovery in Databases」の研究も急速に発展しました。研究者たちは、データマイニングの定義や基本性能、処理手順などを提案してきました。2000年代に入ると、一般の家庭でもインターネットが常時接続されるようになり、それに伴ってインターネット上のデータも膨大な量になりました。そこで、IT企業を中心にデータマイニングの活用が広まりました。
また、SNSの普及により、データの分析に特化した企業も登場しました。
データマイニングの用途:仮説検証とその説明
データマイニングには、仮説検証という主要な用途があります。
仮説検証は、特定の課題や事象を解決するために、あらかじめ立てた仮説に基づいてデータを収集し、分析することです。
このプロセスでは、専門知識を持った人が適切な手法を選択し、仮説を立てる必要があります。
一部のデータマイニングツールには、一定の知識を補完してくれる機能もありますが、統計学などの専門知識が重要です。
仮説検証では、分析は仮説に基づいて行われるため、予想外の結果が生じる可能性はありませんが、最初の仮説が間違っている場合もありますので、検証と分析、解釈の繰り返しが必要です。一般的に、さまざまな手法を組み合わせて分析を行います。また、仮説検証のデータマイニング手法には、量的変数や質的変数などがあります。
例えば、どの地域でどの商品がどれくらい売れているのかを推測する量的変数、また地域ごとの売れ筋商品や商品カテゴリーを抽出して分類・整理する質的変数などが使われます。
データマイニングの用途:知識発見とその説明
データマイニングには、知識発見という用途もあります。知識発見では、仮説を立てずに収集したデータから新しいパターンやルール、類似性などの知識を自動的に発見します。
これは主にビッグデータの解析に有用であり、機械学習という手法が活用されます。
機械学習では、人工知能(AI)を使用してコンピューター自体が学習し、相関関係などを発見します。
AIのおかげで、人間が予期しなかった相関関係も見逃すことなく発見することが可能となります。知識発見では、特定の事象における原因の特定や、複雑な条件下での最適化なども可能です。
このように、知識発見はデータマイニングの一つの重要な応用として広く活用されています。
データマイニングによって得られるものとは
データマイニングを行うことにより、データ、情報、知識、知恵の4つの要素を得ることができます。まず、データとは整理されていない数値データを指し、情報はデータを整理・分類したものです。
さらに、知識は情報から得られる傾向や知見を指し、知恵はその知識を活用して人が判断する能力です。このように得られる情報は、「データ・情報・知識・知恵(DIKW)モデル」とも呼ばれます。
データマイニングは、データの収集や整理・分類、知識の獲得に役立ちますが、知恵として活用するには人の判断力が必要とされます。
データマイニングによって実現できること
データマイニングによって実現できることは、主に以下の3つです。
まず、「データの分類」です。
収集したデータに条件を設定し、分類や整理を行います。
例えば、商品の売上数量や売上金額、純利益などを分類や整理することができます。
これは一部の人には「ただグループごとに分けているだけ」と思われるかもしれませんが、データマイニングでは扱うデータの量が非常に多く、人力だけではそれをグループごとに分けるのは困難です。
したがって、データの分類や整理は、情報を活用しやすくするための重要なステップと言えます。
もう一つの重要な要素は「データの予測」です。
データマイニングを通じて得られた情報や知識を基に、将来のトレンドや予測を行うことができます。
例えば、過去のデータから商品の需要の変動パターンを分析し、将来的な需要予測を行うことができます。これにより、需要予測に基づいた効果的な生産や販売計画を策定することが可能となります。
データマイニングの力を活用することで、ビジネス上の意思決定や戦略の立案において合理的な判断をすることができます。
データマイニングによる関連データの発見とマーケティング施策における活用方法
データマイニングとは、大量のデータから意味のある関連性を見つける手法のことです。
小売業においては、データマイニングを使って収集した情報をマーケティング戦略に生かすことがあります。例えば、マーケット・バスケット分析と呼ばれる手法では、顧客が一緒に購入する傾向のある商品を見つけることができます。
これにより、商品のセット販売やターゲット広告の効果的な設計を行うことができます。
また、クラスタリングと呼ばれる手法では、似た特徴を持つ顧客をグループごとに分けることができます。
これにより、ターゲットセグメントをより具体的に特定し、マーケティング施策の改善を行うことができます。
具体的な活用方法としては、顧客のデータや天候、曜日、時間帯、販売実績などを徹底的に分析することで、商品の売れ行きや需要の予測を行うことができます。
これにより、商品の発注や在庫管理を効率的に行うことができます。
さらに、データマイニングによって収集した顧客の好みや嗜好性データを活用することで、顧客に対して個別に適した商品のプッシュ通知を行ったり、ダイレクトメールでキャンペーンを配信することも可能です。
これにより、顧客の満足度向上やリピーターの獲得を図ることができます。
データマイニングを活用したマーケティング施策は、単なる感覚的な予測と比べると大きな差があることを覚えておいてください。データに基づいた客観的な予測は、より的確な戦略立案が可能であり、小売業界においては競争力を高めるために欠かせない手法と言えます。
データマイニングを駆使してマーケティング施策を展開することで、企業の売上向上や顧客満足度の向上につなげることができます。
データマイニングの製造業における活用例
製造業において、データマイニングは製造機器の設備管理において活用されています。
製造機器には数多くのセンサーが設置されており、これらのセンサーデータを収集・分析することで、機器の不具合や故障の発生箇所やタイミングを正確に把握することができます。これにより、点検や設備交換を適切な時期に行うことができます。
また、この分析結果を製品の設計にも生かすことで、故障を防ぐだけでなく、効率的な製品を作ることが可能となります。
データマイニングの金融業における活用例
金融業界では、大量の取引データや顧客データを保有しています。
これらのデータをデータマイニングすることで、不正利用や詐欺行為を検知することができます。
もし問題が発生した場合には、顧客と迅速に連絡を取り、状況を確認することができます。
また、データマイニングを活用して見込み顧客に対して金融商品の販売や、既存の顧客の解約リスクを予測して対策を講じることも可能です。さらに、市場のリスクや債務不履行の予測も行うことができます。
データマイニングの教育分野における活用例
教育分野では、生徒の学習データを分析することで、生徒の学習の進捗状況や理解度を把握することができます。
これにより、生徒を理解度に応じてグループ分けし、適切な指導を行うことができます。
また、成績向上のための個別対策も考えることができます。
さらに、データマイニングによって現時点の生徒の成績が将来どのように推移するかを予測することも可能です。
データマイニングの保険業界における活用例
保険業界でもデータマイニングは活用されています。
生命保険では、顧客の性別、年齢、疾患、罹患率、回復までの日数、医療費などのデータを分析し、保険料や保険給付の設定を行います。
自動車保険では、事故発生の確率や運転者の年齢、車の車種やグレード、損害補償額などのデータを分析して保険料を設定します。